〖Ted〗人を惹きつける話し方:ジュリアン・トレジャー
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せっかく話しているのに、誰も話を聞いていない―そんな経験はありませんか? そんなあなたに、ジュリアン・トレジャーが救いの手を差し伸べる。この実用的なトークで、音の専門家 ジュリアンが紹介するのは、簡単な声のエクスサイズから感情をこめて話すコツまで「力強く話す」ためのHow toである。このトークは、きっと世界の音をより美しいものにしてくれることだろう。
How to speak so that people want to listen | Julian Treasure
【初めに】
人間の声は誰もが奏でるものだが、世界で最も力強い音だと言える。戦争を始め、愛を伝えられるのは人間の声だけだ。しかし、話しているのに 誰も聞いていないという経験をされた方も多いだろう。なぜだろう?どうすれば力強く話し、世界を変えられるのだろうか。
ここでは「避けるべき習慣」「話すときに意識すべきこと」「伝えるために話すための道具」と順に追って説明していく。
彼が提案したいのは、悪しき習慣を止めることである。皆さんのためにここに 「話者の七つの大罪」を用意した 。網羅的なものだと言うつもりはありませんが 、この7つは かなり影響が大きい私たちが陥りがちな悪習慣である。
【七つの大罪】
1:うわさ話
その場にいない人の悪口を言うこと。良い習慣ではないですね。ご承知のとおり、悪口を聞いて5分後にはその悪口を言っていた人は私たちのことを噂している。
2:批評
記事を読んでいる方の中にも思い当たる人いますよね。聞く気になりませんよね。自分が批評の対象となり、ダメ出しをされているのだから。
3:ネガティブさ
後ろ向きになることもありますよね。誰も相手の「ネガティブな話」を聞きたいとは思っていない。もちろん状況にもよるが、たいていの場合は「新たな知識を得たい」「価値観を吸収したい」等の「ポジティブな期待」を抱いて話を聞いている。
4:不平
イギリスのお国芸だが、国技でもありますね。天気やスポーツ、政治など、何にでも不平を漏らす。でも、不平なんて不幸を撒き散らすだけで、世界に温かさや光をもたらしてはくれない。
5:言い訳
言い訳がましい人がいますよね。身に覚えもあるだろうか。責任転嫁ばかりする人もいいる。他人に責任をなすりつけ、自らの行動に責任を取らない。そんな人の話はやはり聞いていられない。
6:脚色・誇張
ときに言葉の格を落とす。「すごい」を連発していたら、いざ何か本当に「すごい」ものを見てもそれを表現する言葉がない。当然、この誇張は噓にも繋がる。嘘ばかりではやがて、誰も耳を貸さなくなる。
7:独占的
最後は、独善的になり、事実と意見を混同することだ。この二つをごっちゃにしてしまうと、何も耳に入ってこない。誰かに自分の意見をさも事実かのようにぶつけられても、聞けたものではないだろう。
以上が、話者の七つの大罪(Seven deadly sins of speaking)である。つまり、スピーキングをするときに私たちが避けるべきことである。でも、前向きに取り組むこともできるだろうか? ええ、できます。私たちの話に力を与え、世界を変えるために私たちが立脚すべき4つの強力な礎がある。4つの頭文字を取るとある言葉になる。「HAIL」だ。Hail といっても 空から降ってくる「あられ」のことではなく、「熱烈に歓迎し称賛する」という意味である。この4つを拠り所にして、言葉を届けるとそんな反応が返ってくるだろう。
【話すときに意識すべきHAIL】
- H…Honesty(正直さ)
be clear and straight. 真実を話し、率直に明快であること。
- A…Authenticity(素直さ)
be yourself. ありのままでいること(自らの真実に立脚すること)。
- I…Integrity(誠実さ)
be your word. 自らの言葉のまま有言実行し、信頼される人物になる。
- L…Love(愛)
wish them well. ロマンチックな愛ではなく、みんなの幸せを願う愛。これには二つの理由がある。一つは、絶対的な正直さが全てではないからだ。「わあ、今日は酷い顔だね」とか、そんな言葉はいらない。愛で和らげれば、正直さは素晴らしいものになる。また、本当に誰かの幸せを願えば、その人の批評をすることは難しくなる。
【話すための道具】
何かを言うということは、古い歌にもあるとおり内容とともに伝え方も大事なのだ。皆さんには素晴らしい道具箱がある。「のど」というのはすごい楽器で道具箱でもあるのだが、使いこなしている人は少数しかいない。ここで道具箱を開けて中にある道具を取り出してみよう。皆さん持って帰ってお使いになれば話す力を高めることができる。ここでは五つの道具を紹介する。
1:Register(声域)
裏声はたいてい役に立たないが、その間の声域もある。声の専門家もいるでしょうから あまり深入りはしませんが、声を出す場所を変えられる。鼻から話してみよう。さらに のどで話してみよう。ほとんどの方は、ここから声を出しますね。でも、もっと重みを加えたいならもっと下 ― 胸から出そう。違いが分かるでしょう? 低い声の政治家に投票するという事実もある。というのも、私たちは深さを力や権力と結びつけるからだ。それが声質なのだ。
2:Timble(声色)
声の質感である。研究によれば、「豊かで滑らかで温かみのある声」が好まれる。ホットチョコレートのような声である。あなたの声がそうでなくとも悲観する必要はない。息づかいや姿勢、練習によってあなたは見違えるように声質を改善できる。
3:Prosody(韻律・プロソディー)
抑揚や、言葉に意味を添えるメタ言語で、これこそ「会話の醍醐味」です。ずっと同じ調子で話されると聞く気が起きませんよね。それはとても残念なことですから、この癖は ぜひともなくそう。
4:Pace(ペース)
とても早く話すとすごく興奮している感じになる。一方、ゆっくり話すと協調できる。究極は、よくご存知の「沈黙」です。感情の高ぶりは普通「音高(ピッチ)」とテンポで表現するが、実は音高だけでも可能なのだ。僕のカギをどこに置いた? 僕のカギをどこに置いたんだよ?といった音高を変えると少し違う意味になる。
5:Volume(声量)
声量によって興奮した感じにできる。あるいは、とても静かに話すことで注意を引きつけられる。大音量でずっと話す人もいますが、それは避けよう。それこそ「大迷惑」というもので何も考えず、まわりの人に自分の音を無神経に押しつけているだけだ。
以上が相手に話を伝える際に役立つ話すための道具である。こうしたことは何か重要なことを伝えるときに役立ってくる。こんな風にステージで話すときかもしれないし、結婚のプロポーズをするとき賃上げ交渉や結婚式でのスピーチかもしれない。それが何であれここぞというときには、ぜひこの道具箱を見て、これから使うエンジンも確認しよう。 エンジンは温めなければ動かない。声もウォーム・アップしよう。
【最後に】
今の私たちはこんな状況だ。雑音や騒音が渦巻く環境で聞いてくれない人を相手に、あまり上手くない話をしている。このことについて、私はここで様々な側面から説明してきた。もし私たちが、意識的に聴く人を相手に目的にふさわしい環境で力強く話せたら 世界はどんな風になるだろう? もっと言えば、もし私たちが音を意識的に創り出し意識的に受け止め、すべての環境を音を意識してデザインしたら世界はどうなるだろう? 世界には音が美しく響き、そこでは相互理解が当たり前になるだろう。これこそ広める価値のあるアイデアなのだから。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
伝え方によって、きっと世界の音をより美しいものにしてくれることだろう。
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— ぐっち@Gucci_brog's diary (@Gucci_brog) 2020年8月16日
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