〖Ted〗内向的な人が秘めている力とは。:スーザン・ケイン


スポンサードリンク

 

 

 

今回のTedトークは弁護士・作家のスーザン・ケイン氏によるものです。

 社交的で活動的であることが何より評価される文化において、内向的であることは肩身が狭く、恥ずかしいとさえ感じられる。しかし彼女はこの情熱的な講演で、内向的な人は世界にものすごい才能と能力をもたらしているのであり、内向性はもっと評価され奨励されてしかるべきだと言う。


The power of introverts | Susan Cain

 

 

【内向的傾向にある人】

スーザン・ケイン自身も子供のころから周りに静かで内向的なのは正しくない、もっと外向的になるよう努力すべきだというメッセージを、いつも受け取っていた。そして心の中で、そんなの間違っている、内向的なことに悪いことなんてないのにと感じていた。

内向的な人ほど本当は友達と落ち着いて食事する方が好きなのに外交的に振舞おうとする傾向がある。しかし、本人にとって損なことだが、同時に同僚やコミュニティにとっても損失であり、大げさに聞こえるかもしれませんが、世界にとっても損失なのだ。

なぜなら、クリエイティビティやリーダーシップという面で内向的な人に実力を発揮してもらう必要があるからだ。全人口の1/3から1/2は内向的である。皆さんの知り合いの3人か2人に1人は内向的だということ。だから、自分は外向的だったとしても、同僚や配偶者や子どもたちや今隣に座っている人は内向的かもしれない。その人たちはみんな、社会に深く根ざした現実の偏向によって不利を被っているのだ。私たちはみんな、それを言い表す言葉も知らない幼い時期から、それを内面化している。

 

【内向的なリーダーは外交的なリーダーよりも良い結果を生む】

ソース画像を表示

多くの場合チームリーダーに選ばれるのはきっとこんなイメージの人物ではないだろうか。決断が早く、コミュニケーションが上手で、リスクを恐れずに、行動する。しかし、ウォートン経営大学院のアダム・グラント氏が行った研究結果ではそれとは反対の検証結果が出されている。

検証でいくつかのチームのタスク処理スピードなどを測った結果、内向的なリーダーは、外向的なリーダーよりも良い結果を生むことが多かった。後者は気づかぬうちに何でも自分で仕切ることに夢中になってしまう傾向があり、他の人の発言にも恐怖を感じるなど、他の人のアイデアがなかなか表に出なくしてしまうのだ。

反対に、内向的なリーダーはというと、内向的なリーダーは積極的な社員がアイデアを出して活躍できるようにさせ、メンバーの発言の要素を冷静に判断し、より効率的な方法を検討することができた。

 

実際歴史上で変革を成し遂げたリーダーには内向的な人がたくさんいる。たとえばエレノア・ルーズベルトローザ・パークスガンジー。彼らはみんな自分を無口で静かな話し方をする、むしろ内気な人間だと言う。そして彼らは表に立つことを嫌っていたにもかかわらず、世の注目を浴びることになった。そのこと自体が彼らに特別な力を与えている。人に指図したり注目を浴びるのが好きでやっているのではなく、自分が正しいと信じることのため他に選択肢がなくてやったのだと、みんな気づくのだ。

 

【社会として両者をバランスよくする必要がある】

ここで彼女の考え方で誤解されてほしくないことは、彼女は実際外向的な人たちが好きだということだ。彼女の最も親しい人の何人かは、私の主人も含め、とても外向的である。そして私たちはみんな、極端な内向から極端な外向までの間のどこかにあたる。内向的・外向的という言葉を広めたカール・ユングさえ、純粋に内向的な人や純粋に外向的な人というのはいなくて、たとえいたとしても精神病院の中だろうと言う。

内向的と外向的のちょうど中間というような人たちもいて、両向型と呼ばれる。彼らは両方の良い面を併せ持っているように見えるが、多くの人は自分を内向的か外向的かのどちらかだと思っている。

彼女が言いたいのは、社会として両者をもっとうまくバランスさせる必要があるということであり、陰と陽のように両方必要なのだ。これは特に創造性とか生産性といった面で重要になる。極めて創造的な人々の人生を心理学者が研究したところ、彼らはイデアを交換し発展させることに優れている一方、非常に強い内向的な面を持つことが分かった。孤独が得てして創造性の重要な要素になっているからだ。ドクター・スースとして知られるセオドア・ガイゼルは、あの数々の素晴らしい創作をカリフォルニア州ラホヤの自宅裏にある孤独な塔のような書斎で生み出した。彼は実際、読者である小さな子どもたちに会うのを怖れていた。陽気なサンタみたいな人を想像している子どもたちを、無口な自分はがっかりさせてしまうと思ったからだ。最初のアップルコンピュータを作ったウォズニアックは、当時働いていたHPでいつも自室に1人閉じこもっていまた。子どもの頃いつも家に閉じこもっているような内向的な性格でなければ、技術を極めることもなかっただろうと言う。

【現代の考え方】

今の教室や職場はどうでしょう?グループ行動が当たり前で単独で行動することを好む子は、はぐれ者とか、さらには問題児と見られてしまうことでしょう。しかし、現代心理学の知見に照らすなら、これは不思議なことでも何でもない。グループの中にいると他の人の意見を無意識にまねるようになり、どんな人を魅力的に感じるかというような一見個人的で直感的なことでさえ、それと自覚することなく、周りの人の見方に合わせるようになるのだ。

グループというのは、その場の支配的ないしはカリスマ的な人の意見に従うもの。優れた話し手であることとアイデアが優れていることの間に相関なんて全くないにもかかわらず。一番良いアイデアを持つ人に従っているのかもしれないし、そうでないのかもしれない。でもあなたは本当に運任せにしておいて良いのでしょうか? みんな1人になってグループの影響を離れて自分のアイデアを出し、それから集まって、よく管理された環境で話し合う方がずっといいと考えませんか?

内向的や無口、孤独に対する人々の態度を変える三つの行動】

1番目、絶えずグループ作業するなんて馬鹿なことはやめよう。ここではっきりさせたいことは、職場ではうち解けたカフェのようなおしゃべりによる交流を促すべきだ。人々が会って、偶然的にアイデアを交換するようなやり取りである。これは内向的な人にも外向的な人にも素晴らしいもの。しかし、私たちにはもっと職場におけるプライバシーと自由と自律性が必要である。学校も同じだ。子どもたちに一緒に作業する方法を教えるべきだが、自分で作業する方法も教える必要がある。これは外向的な子どもにも重要であり、自分で作業する必要があるのは、それが深い思考の生まれる場所だからである。

2番目、荒野へ行こう。仏陀のように自分の啓示を見つけよう。みんな今すぐ出かけて森の中に小屋を作り、もう互いに話すのをやめましょうと言っているのではない。彼女が言っているのは、電子機器から離れて自分の頭の中に入る時間をもう少し増やしましょうということ。

3番目、自分のスーツケースの中身をよく見て、なぜそれを入れたのか考えてみよう。外向的な人は、スーツケースに本が詰まっているかも知れないし、たくさんのシャンペングラスか、スカイダイビングの装備が入っているかもしれない。それが何であるにせよ、様々な機会にそれを取り出して、自分のエネルギーと喜びを他の人にも分け与えてみよう。内向的な人は、きっと自分のスーツケースの中身を守りたいという衝動を感じると思う。それは構わない。でも時々は、スーツケースを開いて見せてほしい。世界はあなたと、あなたが持っているものを必要としている。

【最後に】

ソース画像を表示

最後まで読んでいただきありがとうございました。

皆さんに最良の旅と、静かに話す勇気がもたらされますように。

 

 

 

内向型人間の時代 社会を変える静かな人の力

内向型人間の時代 社会を変える静かな人の力